山神様にお願い
そこに思い当たらなかった!ウマ君が、ほらほら、と鞄を持ってくれるのに、私はバタバタと二階へ上がった。
て、てて、店長にもメール・・・そりゃあいってるはずだよね!?うわああああ~・・・怖い、怖いよー!早く早くしなければ!
だけどだけど。と、そこで私は一瞬動きを止めた。店長が怒ったら怖いって皆言うけど、実際今までに店長が怒っちゃったんだなって時に、そんな凄まじく恐ろしかったことなんてなかった。
嫌味を笑顔で言う、ある意味怖いことはあったけど、でも暴れるとか、そんなことはなかったし。
・・・そういえば、どうして龍さんも怖い怖いって言うのかな。私はふと思い立って、顔面に思いっきり“可哀想だ”と書いて私を見ているウマ君を振り返る。
「あの~・・・そんな時じゃないかもだけど、気になるから一応聞いとこうかな。喧嘩にも強そうで、体も大きくて迫力もあって、しかもボクサーだった龍さんが店長を怖いって言うのは、どうして?」
え?とウマ君が呟く。だけどちょっと考えてから、一階に通じる階段をちょっと見て下の様子を伺ってから、小声で言った。
「ええと、俺が直接みた訳じゃないんすけど・・・オープンしてすぐ位に、当時いたタカさんて人と龍さんがふざけて開店を遅らせた事があるらしいです」
「タカさん?あ、鷹か。はい、それで?」
そういえば、そんな名前を店長から聞いたことがあったな、と思いながら私は頷く。
「その時キレたトラさんに、二人とも病院送りにされたそうですよ」
「え」
「大怪我だったって聞きました」
「ぼ・・・ボコボコ?店長が暴れたの?」