世界征服狂走論




「だから友達いないんだよチカちゃんは!」

「うっせーいるっつの!」



 人の気も知らないで!なんて、ギャンギャン吠えてると、キレながら面倒くさがりながらもぐちゃぐちゃにしたあたしの髪を直してくれるチカ。
 そうそう、実は優しいんだよね、チカ。



「チカちゃん最近イライラしすぎだからカルシウムとったほうがいいよ」

「おう。牛乳買ってこい」

「またかよ」



 そもそもなんで、いつも牛乳飲んでるくせにチカってやつはこうトゲトゲイライラしてるんだろう。チカってやつは。


「お前も脳みそ落ちつけるために牛乳でも飲めば?」


 …まぁこれが、チカちゃんなんだけど。


 また座り直してぽけっと空を見つめる。「買ってきてくんねーのかよ」なんてチカは無視して。そんなチカとの距離、1メートル。

 だいたいいつもこの距離だ。
 3年間、縮めようとも伸ばそうとも思わなかった、この距離。


 たぶんアレだよ。チカのいちばんの友達って、ぶっちゃけあたしだよ。

 即否定するだろうから黙っとくけど。







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