先輩は狼男?!

先輩の忘れ物


大葉さんと話してると時間も仕事もあっというまで。
人気の理由がわかる。
「そしたらさ、転んじゃってさぁ笑」
「あははっ」
「……」

急に大葉さんが黙って私を見つめる。
目があうと恥ずかしくて、また頭が真っ白になる。
「えっと…大葉さん?」
「望月…」
「へ?」
「いや、なんでもねぇ笑ごめんごめん。」
「あ、いえっ。」

何だろ今の。
何かを言いたげな…

「仕事も終わったし、そろそろ帰るか?」
「はいっ」

デスクを片付けて大葉さんとオフィスを後にする。
「んー、疲れたな?」
「はい。疲れましたねー」
「あ、もう望月、成人だよな?」
「はい!こないだ20になったばかりです!」
「じゃあさ、一杯いくか?♪」
「はい♪行きましょ!」
「じゃー今夜は愚痴大会って事で笑」

そう言って大葉さんは近くの居酒屋に入った。

「じゃぁ…『カンパーイ』」
二人でお酒を飲みながら
会社の事とか
部長の愚痴とか
いろんな話をした。

時計はもうすでに12時をすぎていた。
「いゃー飲んだなぁww」
「あははww」

大葉さんはとても酔っているようで
少しフラフラしていた。

だって思いっきり飲んでたもんな笑

お会計をして店を出ると
静まり返った道路が冷たい風とともに
少し酔いをさます。

「ん?あれぇ?」
「どうかしました?」
急に立ち止まってカバンをあさりだした大葉さん。
酔ってるとこも可愛いんだなーとか
見とれながら立ち止まった大葉さんに
歩み寄る。

「ヤベェー」
とかいいながらふにゃぁと笑顔をこぼす。
「どーしました?」
「俺んちの鍵がねぇ…」
「え”…」

「たぶん会社だわー」

「どーするんですかっ!?」

「取りにいってくる!」

でも、今からいっても遅いし
だからって、私の家に入れるわけは…
かといってここら変はビルばっかりで
ネットカフェとかないし…
それじゃぁ大葉さんが寝るとこなくなっちゃう。

もぅ…しょうがないか!

「あの…もしよかったらですけど今夜だけ私の家泊まりますか?」
「え、もうしわけないよー」
「いえいえ。詰まらない家ですけど泊まっていって下さい。」
「いいの?本当に?」
「はい。」
「やったーありがとう!」
そう言って大葉さんが抱きついてきた。

大葉さんの甘くなく爽やかな香りが
抱きつかれたと同時に包まれる。

「じゃぁ、いきましょうか!」
「おう!」

そういった大葉さんは
口元をニヤリとゆがませた。

え?ニヤリ?

この後大葉さんの夜の顔を私は
見るとは想像もつかなかった。
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