二重人格神様~金と碧の王~


その台詞に呉羽は笑みをこぼす。そして、頭を抱えていた手を離し、腕を組む。


「まぁ…心当たりがある。この前の夜会で、ある人間の花嫁が危ない目にあった。お前もそれは知っているだろう」



「はい…海鈴様の花嫁でしたね。海鈴様が早急に対処したようで、重症にはならなかったようですが…まさか…」



「そう。その花嫁に手を出したのは海鈴の花嫁だ。ようは内輪揉め…その時に排除できなかったから、今回は本気でやるみたいだな。あれは、人間に効果がある」



「それなら、急いで海鈴にご報告を…」


部屋を出ようとする呉羽は「待て」と引き止める。その行動に男は顔をしかめた。


「そんな顔をするなって。お前が行くことはない。俺がいく」


「ですが…」


「いいんだよ。それに、少しみて見たいんだ。あれをあの女に使ったら、どうなるのか」


そうつぶやき、思い出すのは夜会でのこと。いのりに触れた時、感じた事。不思議な感覚に包まれ、その感覚がなにか呉羽はなんとなくわかっていた。



それが本当かどうか確かめたい。



気味悪く微笑む呉羽に男はため息をはき、「わかりました」とつぶやく。



「さて、ここから面白くなりそうだ」


その呟きは暗い部屋に響き渡り、消えていった。


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