[完]バスケ王子に恋をして。
「ちょ、春樹!!離して!!痛いよ!!」
「離したら逃げるだろ」
「……何でここに連れてきたの?」

諦めたのか奈未は抵抗しないで下から冷ややかに俺を見ている。

「何で俺のこと無視すんだよ」
「……」

奈未は俺の目から目を逸らす。

「聞いてんだろ」
「……」
「奈未……俺のこと嫌いになった?」
「……そんなことない……」

立て耳を立てないと聞こえない声で奈未が呟いた。

「じゃあ何で俺のこと無視すんだよ」

そんなこと俺は知っている。

でも奈未の気持ちを確かめないとこの後のことが進まない……。

「俺に教えて?」

優しい声で奈未をなだめるように頭を撫でた。

するとどんどん奈未の目に涙が溜まってきた……。

「大丈夫だからな?」
「……そんなことない!!」

奈未はいきなり俺の胸を押し返した。

「私……春樹に酷いことしたの……!!もう私……春樹に会っちゃダメなの!!……こんなこともうしないで!!……どうせ私の前から消えるなら私が虚しくなることしないでよ……!!私最低なの……!!春樹……ごめんなさい!!……もう私に関わらないで!!」

奈未は泣きながら俺の腕から手を離し俺の元から走り去っていった。

……奈未のキズは俺が思ってる以上にすごかった……。

でもこれも想定内……。

奈未……俺を誰だと思ってんだよ?

これで終われると思うか?

なわけねーだろ?

俺は諦めが悪いんだよ……

見てろよ……これからが本当の始まりだ……。



「春樹」
教室に帰ると咲羅が心配そうによってきた。

「大丈夫かよ?」
「想定内」

俺は咲羅にグッドポーズをする。

「そ、じゃあ放課後が楽しみだな……」

安心したように咲羅は窓から外を見て微笑んだ。

「じゃ、放課後奈未のこと頼んだぞ?」
「ああ、春樹は自分の身を守れよ?」
「馬鹿にすんな」

……放課後俺達が波乱を起こすなんて誰も予想しないだろう……。
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