[完]バスケ王子に恋をして。
「え?嘘なんてついてないけど?」
「ごまかさないでよ!!」

私の怒鳴り声は部屋中に響き渡った。

「私……全部思い出したんだから……」

そういうと海斗は顔を歪めた。

「私が事故に遭った日……俺があの時助けてやればって言ってたよね……?俺が事故に遭った時守ってやればって言ってたよね?どうしてあんな嘘ついたの!?」
「……」
「私だから信じてた……私と海斗は事故の時一緒にいたんだって。だから私……何で一緒にいたのって聞いたら……デートしてたって……そう言ったよね!?」
「……」
「だから……中2の私は海斗のこと好きだからいいって言ったのに……私のことずっと騙してたんだね!?」
「……」
「春樹のことを言わなかったのは……私に春樹を思い出させたくなかったんでしょ!?だから私を縛り付けた……そして何もなかったかのように指輪を渡したんでしょ!?」
「……」
「……薄々気づいていたんだよ……この指輪は何かを隠しているって……。本当はこの指輪……春樹が渡すつもりだったんでしょ!?じゃなかったら……あんなふうに大事に包んでないで私の指に付いてたはずだもん!!なんで?なんで嘘ついたの?黙ってないで何か言ってよ!!」

私は泣きながら怒鳴っていた。

何で泣いているのなんてわかんなかった。

でも、悔しかったり悲しかったりそういう理由なんだろう……。

「奈未が欲しかったんだ……」
「……は?」
「俺はずっと奈未が好きだった。振られてもずっと。いつも一人で泣いている奈未を見て、なんであいつなんかの為に泣いてるんだよなんて思ってた。だから事故が遭ってあいつの記憶がなくなったからちょうどいいと思ったんだ。あいつを忘れてれば俺を好きになるってな」
「バカなこと言わないで!!私はあんたを好きになったつもりはない!!」
「そんなの知ってる。記憶がない時も奈未はずっとあいつを思っていた……ごめん……」

そういって海斗は頭を下げた。

「っ……ごめんで済むと思ってんの!?あんたどんだけ春樹傷つければ気が済むの!?」
「……」
「私は海斗を許さない。……もう幼なじみとしても見てらんない……お願いだから……もう二度と私と春樹に顔見せないで!!」
「わかった……」

海斗は静かにトボトボと歩いて部屋を出て行った。

海斗が出て行ってすぐ私は指輪を手に取った。

“N&H”

「……ごめんね……春樹……私春樹にたくさん謝ることがあるよ……」

そういってまた指輪を見ると……

“0903”

……今日……。

「……っ……!!」

私は急いでベッドから飛び降りた。
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