好きなんて言えないよ。

…一条。


桜ちゃんの名字だ。



「あ、ほんと？さくらーっ！がんばれー！」



クラスの男子に相槌を打つと目の前にいる桜ちゃんの応援をしだした紺野君。


そっか、さくらちゃんは運動できるからバレーもバスケも出るんだ…。



やばい。泣きそう…。



私が泣くのを必死に我慢していると



「ねぇ、そろそろバスケ集合しそうじゃない？行こ、十和！」



そう言って恋梨ちゃんは私を連れ出した。



あれ？バスケの集合時間はバレーが終わってからでもいけるはずだ…。


なのにどうして…。



恋梨ちゃんは人気のないところまで私を連れ出した。



「実はね、私十和に隠してる事があるの」



いつもの弾んだ声とは違い少し落ち着いた声でそう言った。



…え？



「恋梨ちゃん…？」



今はその言葉しか出てこない。