好きなんて言えないよ。
「好きなんでしょ。紺野君の事」



前を向いて何の迷いもなく恋梨ちゃんは私にそう告げた。



え…、どうして…。



「十和も好きなんでしょ?紺野君の事」



私の頭が理解できていないのが分かったのかもう一度恋梨ちゃんは私に告げた。



こんな時なんて言ったらいいのだろう。



頭が混乱して何も考えられない。



「どうして…」



やっと振り絞って出たのはこの言葉だった。



「見てれば分かる。何で話してくれなかったの?って言いたいところだけど私が好きだから言えなかったと言うのが十和の本音でしょう?」



すごい、恋梨ちゃん。


私はてっきり恋梨ちゃんは鈍感少女とばかり考えていた。


違ったんだ…。



「…そうだよ」



素直に答えた。



ここで好きじゃない。そう言ったらダメな気がして私は素直に答えた。



< 188 / 256 >

この作品をシェア

pagetop