好きなんて言えないよ。
あ…。今のは夢だったんだ。


よかった…。あんなのが現実だったらたまらなく嫌だ。


でも何であんな夢を見てしまったんだろう?



………、きっと私は桜ちゃんのことが羨ましいんだ。



だからあんな夢を見てしまうんだ。



「逢瀬…?大丈夫?」


間々原君が心配そうに私の顔を見ていた。


やばい…!何か言わなきゃ…!



「あ…、えーと。心配かけてごめんなさい。大丈夫だから。ごめんね?」



私がそう言うと間々原君はホッとしたような表情を浮かべた。



そして無言で自分のハチマキを私に渡した。



え…?



私たちの学校は球技大会にハチマキを交換して体育大会にお互いのハチマキをつけると言う風習がある。



私と間々原君は同じクラスだから交換しても裏に書いてある名前を見られなきゃ交換したってわからない。




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