恐怖短編集
そんな気持ちで、薄汚れたTシャツとジーパン姿の洋太は、フラフラと、ネオン輝くその場所へと歩き出した。


洋太の暮らしている公園からそう遠くないその場所は、昼夜問わず若者が溢れかえっていた。


男と女が、人目など気にせずに欲情し、セーラー服のコスプレをした女が店に客を誘い入れる。


奇抜な格好をした十代後半の女が、給料をおろしたばかりで懐の暖かいサラリーマンの下腹部に手をやっている場面も見た。


あまりにも場違いで、本当にホームレス狩りでもされるかとヒヤヒヤしていたが、若者たちは他人のことより自分のこと。


まるで洋太だけ透明人間になったように、そこにポツリと突っ立っていた。
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