恐怖短編集
「ここだ」



東夜は203号室の部屋の前で立ち止まり、軽くノックをした。


しかし、中に誰もいないのか返事がない。東夜はドアノブに手をかけた。


「やめなさい!」


その瞬間、大声でそう聞こえてきて、東夜は一瞬自分が言われているのかと、手を引っ込めた。

しかし、どうやらそれは203号室の中から聞こえてくる声のようだった。


そっとドアを開け、東夜は身を凍らせた。


昔の、母親と妹の姿がそこにあったのだ。この病院だけ、時間が止まってしまったかのように。


妹の美由紀は狂ったように叫び、病室の中にあるコップやハブラシ、クッションを壁に向けて叩きつける。


幸いだったのは、そこが個室だったと言う事。



その時、美由紀が投げたマンガが派手に東夜の顔に当たった。
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