恐怖短編集
大分落ち着きを取り戻し、涙を服で拭いながら東夜が答えた。



「でも……、どうしてこんな」



よく状況が飲み込めないまま、孝は言った。



「俺は病死だと聞かされてた……。でも違ったんだ! 美由紀は……自殺したんだ!」



再び、パニック寸前になる東夜を孝は「わかった、わかったから」と優しい口調でなだめた。


孝は東夜の背中をさすってやりながら辺りを見回した。


妹のこともこの病院のことにも詳しくない孝は別の違和感を覚えていた。


何かがひっかかるのだ。


あの頃、この病院に何かがあった気がしてならない。
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