*ミーくんの好きなひと*
「それでも、萌には優しさが足んないよー」
小さなマキが目を潤ませて見上げてきて、
「ははっ、優しさ」
思わず笑ってしまった。
優しさほど不定形で曖昧なものはない。
マキたちの基準だと、きっと誕生日に指輪を買ってくれる人は優しくて、買ってくれない人は優しくないんだろうな。
だいたい優しくふるって何?
ふるのに優しいとか優しくないとかある?
告白を断るなら徹底的に断るのが私のやり方だ。
期待に添えないくせに無駄に優しくしたってしょうがない。
それに、私に対する未練が残ったら、あの彼は次の恋に進めないかもしれない。
冷たく振ったことで嫌われたって、かまわなかった。
私にはミーくんがいれば、それでいい。