朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
哲はひとりっ子で。
さぞかし愛されて育ったんだろうなぁ。
お母さんは緊張した様子で。
哲の指が、全部無くなっちゃったんだと、思ってた。
婿様の説明が、悪い証拠だ。
だから私は、お母さんを座らせて、手を握られたまま、ゆっくりと説明をする。
まだ処置は終わってないけれど、くっつくみたいですよ。
動くようにも、なるみたいです。
大丈夫。
大丈夫だから。
途中からは、独り言みたいになっちゃったけど、私の脳裏には、切り離された指と、溢れる血の色とが、鮮明に蘇って。
ほんとうに、付く?
動くようになるなんて、到底思えない。
骨は、どうなる?
感覚は、どうなるの?
歌は良いけど、たまに弾いてるギターは?
仕事、は?
続けられるの?
…怖い、なんて。
今思ったらダメなのに。
糸が切れたように泣き出したお母さんの声を聴いていると…、たまらなく怖く、不安になった。