朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
「指…ちゃんとつくんだって…蜜、言われたんだよね?」
遼は。
温かいミルクティの缶を持って、ドアをノックした。
単純に、ひとりが怖かった私は、いつもと同じ、穏やかに笑む遼を部屋に、入れた。
私が、哲の部屋に入れて貰えなくなるくらいの、時間。
「…うん。ちゃんと付くってお医者さん、言ってた」
「じゃあ、そんな泣かなくても」
「…泣いてな……」
「泣いてるよ?」
遼の細い指が、私の目許を拭う。
ほら、と濡れた指を見せた遼の顔を、いつものように、綺麗だと思う余裕も無かったんだけれど。
合った視線を逸らしたのは、遼だった。
大きめの、帆布のショルダーから、黒いファイルを出した遼が、眼鏡越しに、柔らかく笑う。
「ボーンじゃ近所迷惑だから、蜜のキーボード弾かせて?」
元気出ないときは、ピアノ弾くといいよ、と。
連弾しよう、と。
遼は、私の手を取った。