朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~


「………………いいから」

「……い、いんだ?」



また出た。“いいから”。

ふいっとそっぽを向いた哲が、早く入れ、と背を押した。


「蜜、こっち」


真っ直ぐに連れて行かれた、お風呂。



「手足」


コートを外されて、明るい場所で鏡を見て初めて、自分の肌が、蝋のような白さになっていることに、驚いた。

唇なんか、紫色を通り越して、すっかり白い。

指先も、つま先も、じんじんと痺れたまま。




「やだ、熱い」

「だって、あっためねーと」



シャワーの音が、耳にはとても温かい。

ちょっと指先で触れたけど、まるで熱湯に触ったみたいに、痛かった。



「…ぁ熱っ」


手を引いた私に、無理強いする事はなく、哲はシャワーの温度を下げる。



「このくらい?」

「……ごめ…熱い」



触れないんだ。

哲の手が、熱くて火傷しそうに感じたのは、あまりにも自分の肌が、冷たすぎた、せい。

お湯なんか、触れる訳がない。




< 237 / 354 >

この作品をシェア

pagetop