朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
どうしよう。
遼が、手を離してくれない。
別に、手を繋ぐくらい、子供でもするんだから、構わないっちゃ構わない。
…問題は、私も遼も、子供じゃないってところだ。
少なくとも、遼は大人。
ちゃんと厚生年金のあるところに勤めていて、この不景気に、ボーナスも出る。
いくらだかは知らないし、厚生年金がどんなものだかも、よくわからないけど。
ああ、こんなに美人なのに厚生年金か…。
やけに現実的な事に思いを馳せてしまった…。
「遼の…トロンボーンっていくら?」
「えっ?」
無理に話題を出そうと思って失敗した。
そんな典型的な空気の固まり方に、私は乾いた笑顔を浮かべるしかできなかった。