朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~
どうしてこう、急に緊張しちゃったんだろう。
なんとなく、…怒られそうな気がしたんだ。
「…哲、に」
「え?」
無性に、帰りたくなった。
赤い髪。
唇ピアスに眉ピアス。
「椎茸…頼まれたんだった」
…嘘。
そんなもの、頼まれてない。
ただ、哲の名を呼びたくなっただけ。
声に出せば、手を離してくれるかもしれない、なんて。
ずいぶんと2人共に失礼な事を思った、だけ。
「遼、ごめんね、私早めに帰らないとならないから…会計、してくるね」
せっかく連れてきてくれたのに、手を繋いでいたら、私は笑えない。
緊張して、勝手に気まずいような気分になって。
握り返すことも、振りほどく事も、出来なくなる。