朝の旋律、CHOCOLATE ~Whole Lotta Love~


真っ赤なリンゴが、数十個。

硬い段ボール箱に入ったそれを、遼は運んでくれる。


重いだろうから手伝いたかったけど、バランスが取れないから、と、ひとりで抱えてくれた。

確かに遼との身長差を見れば、2人で両端を持つには、高低差がありすぎるかも知れない。


私は、ビニール袋に詰めてもらった野菜を両手に持つ。

中身は、哲に頼まれたことになった椎茸と、どこかのお爺さんの顔写真の貼り付いた、茄子の辛子和え。


黒にも近い、刻んだ茄子に、鮮やかなカラシ色が綺麗だったから。

カラシなんだからカラシ色なのは当たり前なんだけどさ。


遼の分と、私の分。

哲は私のを食べればいいから、2つだけ。




「“哲くん”はそんなに椎茸、どうするんだろね?」


不意に話しかけられて、私は手に持った“哲に頼まれた”ことになっている大量の椎茸を、ちらりと見やった。



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