ほどよいあとさき


大切な親友である相模課長と、歩の人生において、忘れることは絶対にできない存在である葵さんに、今どんな気持ちでお祝いの気持ちを伝えているんだろうか。

この場に立つこと自体、奇跡なのかもしれないのに。

そんなことを考えながらも、私が歩と一緒にいる限り、これからは歩を一人で苦しませたりはしないと、改めて思う。

愛しているから。

どうしても、愛してしまうから。

相変わらず相模課長の眉間のしわが深くなるようなスピーチを続ける歩を見ながら、私はそっとお腹に手を置いた。

葵さんのお腹の赤ちゃんと同級生になるね、と私が言った時に、歩は嬉しそうに顔をくしゃくしゃにして笑い、涙をこぼした。

私のつわりも軽く、順調に育っている赤ちゃんが、じきに生まれる。

私は、少しふくらみ始めたお腹の赤ちゃんに心の中で呟いた。

我が家の新しい家族だね。

早く会いたいね。

そう、歩が求めてやまない家族が、もうすぐ増えるんだ。

増えるのは家族だけじゃない、極上の幸せも増えるんだ。





< 121 / 122 >

この作品をシェア

pagetop