魅惑のハニーリップ
 薄暗い車内で、隣に座る宇田さんの薄っすらとした笑みを目にし、また少しドキドキしてしまった。

 ダメだ。今日の私はおかしい。
 どうしてドキドキする対象が、宇田さんなのだろう……

「お疲れ様です。今日はありがとうございました」

 優子のマンションの前に着き、タクシーから優子が降りたあと、車内でふたりきりになった。

「遥ちゃん、今日いつもより顔赤いな」

「へ?!」

 隣にいる宇田さんが、私の顔を覗き込んでくる。

「もしかして俺の見てないところで、二杯目を飲んだの?」

「……和久井さんがおすすめのお酒があるからって…て」

「和久井のヤツ!」

「でもそれ飲んだの、少しだけですから大丈夫です」

 別に和久井さんに無理強いされたわけではない。勧められただけだ。
 子どもじゃないのだから、飲んだのは自分の責任だ。

 酔ってなんかいないと思いたいけど、いつもより体がふわふわするし、そのわりに頭は重い。
 自分が思う以上に酔っているのかもしれない。


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