魅惑のハニーリップ
「な、なんですか?…」

「んー、仕事の話。今度の仕事終わったら、時間作れそうって言ってたけど……佐藤のやってる案件でクレームが長引いててさ。今日部長に言われて、そっちの処理を俺がしなきゃいけなくなった」

「そうなんですか」

「ほんと、なんで俺が佐藤のとこのクレーム処理までしなきゃいけないんだか」

 佐藤さん担当のクライアントのクレームを、宇田さんが……

 宇田さんはキャリアもあるから、クレーム処理もうまいはず。
 だから、営業部長も宇田さんに頼んだのだと思う。

 それに、宇田さんは口ではそんな風に言ってるけれど、やっぱり後輩が困っていたら放ってはおけない人だ。

「ごめん。やっぱりまた、毎日帰りは遅くなりそうなんだ」

「はい。でも、仕方ないですね」

「仕事帰り、普通に一緒に飯食いに行ったりしたかったのになぁ」

 私よりも宇田さんのほうが何倍も残念そうにしてくれるから、それ以上なにも言えなくなってしまう。
 一緒にいたいっていう思いは、私のほうが強いはずなのに。

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