魅惑のハニーリップ
「悪かったよ。でもクレーム処理してたんだから仕方ないだろ」

 宇田さんもバツが悪そうに、後頭部をポリポリと掻きながらうな垂れてる。
 たしかに仕事がらみの理由だから仕方ないのだけれど……
 結婚式は欠席、披露宴は危うく遅刻だもの。

「まぁ、いいじゃないの。スピーチは間に合ったんだから」

 恭哉くんの隣りに並ぶ佐那子さんが、クスクスと笑いながらフォローを入れる。
 ふたりは本当に良いバランスだ。

「聖二……ありがとね。いいスピーチ聞けてよかった」

「当たり前だろ。佐那子の披露宴なのに、まるまる全部欠席なんてできるかよ」

 佐那子さんにお礼を言われて少々照れているのか、宇田さんが視線を逸らしながら言う。

「あ、でもチャペルの式のほうは間に合わなかったから見てないんですよね~?」

 恭哉くんがまた意地悪めいた口調で宇田さんにそんな話を振った。


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