魅惑のハニーリップ
「残念でしたねー。式もよかったのに! 俺と佐那子の感動的な誓いのキス、見れてないなんてなぁ」

「あー、はいはい、残念だったよ!!」

「宇田さん、さては羨ましいんでしょ? 今日の佐那子、超~~~綺麗だから」

 少し呆れ顔だった宇田さんが、隣にいた私の肩を急にグイっと抱き寄せた。

「悪いけど、別に羨ましくはないよ。俺はこっちの、あま~い唇のほうが好みだから」

 その発言に驚いて隣の宇田さんを見上げると、いつものやさしい笑みで微笑んでくれていた……
 宇田さんがこうして温かい笑みを向けてくれるから、私も温かい心を保っていられるのだ。

「へぇー、遥ちゃんの唇って、そんなに甘いんだね」

「そ。俺しか知らないだろうけど。って……絶対に確認なんてさせないからな!」

「あはは! まさかでしょ。俺、今日結婚したばかりなのに、いきなり浮気なんてしませんよ!」

「そうそう、キスなら仲良く佐那子としろよ。俺のお気に入りの甘い唇は誰にも渡さない。絶対に」

 宇田さんと恭哉くんのそんな会話を聞いていると、なんだかこっちが恥ずかしくなってくる。
 だって、私の唇が甘い甘いって言いすぎだ。

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