魅惑のハニーリップ
「遥ちゃんって、やわらかくてかわいくて……まるでマシュマロみたいだ」

「宇田さん?」

「なんで……片思いなの?」

「え?……だって、宇田さんは…佐那子さんが好きなんでしょ? だから、私なんて……」

 ガッチリと抱きしめられている頭の上から、宇田さんがクスクスと笑う声が聞こえてくる。
 なにかおかしなことを言っただろうか。

「それ、ハズレだな」

「?」

「佐那子はもうすぐ結婚するだろ、社長のご子息と」

「……はい」

「俺は遥ちゃんが好きだから」

 一瞬自分の耳を疑った。
 願望って、幻聴になって聞こえてきたりするものなのだろうか。

 でも今……私のことが好きだと聞こえた気がする。
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