魅惑のハニーリップ
「う、嘘……」
「嘘じゃない。ホントだよ」
「いやでも……さっき宇田さん“ごめん”って……」
「あれは、俺からちゃんと言うつもりだったんだけど、予想外に遥ちゃんに先を越されて面くらったんだ。まさか遥ちゃんが俺を好きだとは思わなくて。あー、やっぱり俺が先に言いたかったな」
抱きしめる力が弱まって、ぐっと顔を覗き込まれる。
頬に伝っていた私の涙の筋を、宇田さんは笑顔でそっと拭ってくれた。
一応宇田さんは、全部検査や処置が終わっていたらしく、会計などの手続きを済ませたあと、ふたりで病院の外に出た。
「事故のこと、誰に聞いたの?」
歩きながら、宇田さんがポツリとそう問いかけた。
「カフェで和久井さんと話してたら、優子から電話がかかってきたんです」
「え?……さっき和久井と会ってたの?」
宇田さんの足取りが止まって、驚いた表情に変わる。
今日行けなくなったのだと、和久井さんに断わるように宇田さんには言われていたから。
カフェで会っていたことに驚いたようだ。