魅惑のハニーリップ
「会えなかったら、寂しいに決まってるじゃないですか! いっぱい宇田さんに会いたいです。恥ずかしいですけど、それが私の本心です!!」

 私には『程ほど』というものがないのかもしれない。
 極端に言えば、ゼロか100%か、どちらかになってしまう。

 我慢して寂しいって正直に言わないかと思ったら、急にこうやって本心が溢れてきたり。
 自分でもやっかいな性格だと思う。

「ブッ! ふははははっ!」

「わ! ひどいです! そんなに笑うなんて」

「いや、ごめん。なんか遥ちゃん必死だったからさ」

 ふんわりとやさしく笑って、宇田さんは私の頭をゆっくりと撫でた。

「それに、そんなかわいいこと言われたらキュンとくる」

「え?」

「男の俺でも、うれしくてキュンときて、たまらなくなる」

 隣りの椅子に座っていた宇田さんが、おもむろに私の手をやさしく引っ張る。
 あっという間に引き寄せられた私は、宇田さんに唇を奪われた。

 触れるだけのキスだったけれど、ここではマズいでしょ。
 今は誰もいないとはいえ、オフィスの……自分のデスクでキスなんて。

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