魅惑のハニーリップ
 私……重症かも。
 営業部の人たちがたくさんいる方向を目で追ってしまうのだから。

 私たちと違って、営業部はまだまだ夜遅くまで仕事は終わらない。
 いくら出張先が同じだからと言っても、ゆっくりと一緒に食事できそうにないのはわかってる。
 それでも、仕事を頑張る宇田さんの姿が少しでも見たくて、何気なく辺りを見回してみた。

 なのに、宇田さんの姿が見つからない。
 ガッカリしながらも、あとでメッセージを送ってみようかなと、トボトボと歩き出した瞬間だった。
 少し離れた通路の隅に、宇田さんの姿が見えた。

 でもそれはひとりではなくて……
 浅田さんと話をしているみたいだった。

 浅田さんはなぜか俯いたまま時折頷く仕草をしていた。
 宇田さんは困ったような表情で腕組みをし、目の前の彼女になにか話しかけている。

 どんな話をしているのだろう?
 冷静かつ単純にそう思えたのはつかの間だった。

 宇田さんがその大きな手を、浅田さんの頭の上に置いたのだ。

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