狼系王子とナイショの社内恋愛


ぐっと奥歯を噛みしめてから顔を上げて……そのまま総務課に背中を向けた。

「わ……っと、あれ、先輩、どうしたんですか?
えっ、泣いて……」
「あ、ごめん。コンタクトが割れちゃったみたいで」
「大丈夫ですか?」
「うん。ちょっとトイレ行って直してくるから」

振り返った途端にぶつかってしまった金子さんとそんな会話をしていると、金子さんが総務課のひとだかりに気づく。

「あれ、なんの集団ですか? ずいぶん盛り上がってるみたいですけど」
「……さぁ」
「私、聞いてきますっ」

うずうずしながら笑顔で走って行く金子さんの足音を聞きながら、私も反対方向に歩き出す。

なんだか息苦しい……。
ここは閉所でも密閉された空間でもないのに。

上手く呼吸ができなくて倒れそうだった。










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