狼系王子とナイショの社内恋愛
まるで一分を一時間のように感じながら終業時間を迎えて、飛び出すように会社を出た。
やり残した仕事はまだあったけれど、急ぎじゃないから後日すればいい。
とにかくあの空間にいたくなくて……苦しくて限界だった。
携帯を開くと、まだ時間は18時前だった。
家の冷蔵庫には何も入っていないから、何かを作るにしてもどっちみち買い物をしていかないと食べるものが何もない。
作る気なんてまったくしないから、もう今日は何か買って行けばいいか。
何か……。
何かってなんだろう。食欲がまったく湧かない。
「両目のコンタクトがいっぺんに割れる事なんてあるんですね。高橋さん」
とりあえずコンビニで日持ちするパンでも数種類買っておくか。
でも、今部屋に帰ってひとりで過ごすのは時間がたくさんありすぎる。
こんな気持ちでひとりでいたら、会社と息苦しさは変わらないしそんなの早々と切り上げてきた意味がないし……。
ぼんやり考えながら、そういえばさっき、高橋さんって単語が聞こえた気がして後ろを振り返る。