狼系王子とナイショの社内恋愛


「なんでって責めて嫌いになりたいけど……優輝の顔とか私を呼ぶ声が頭に浮かんで、その度にやっぱり好きなんだって思っちゃうんです。
今日の午後は、その繰り返しで参りました。
一生終業時間にならないかと思いました」

そう笑うと結城さんはしばらく黙って私を見て。
それから、わずかに眉を寄せて探るように聞く。

「憎しみだとか嫌いだとかじゃなく、ただ悲しいって事ですか?」

あ、まさにそんな感じですと答えると、理解できなそうに顔をしかめられた。

「あんな裏切られ方されておいて、相手を憎むことなくただ悲しいっていうのは人が良すぎる気がしますが。
それに、振られた相手を守るために俺の言う事を聞くのも、俺には理解できないです」
「でも、結城さんも十分おかしいと思いますけど」
「俺がですか?」
「だって切り札持っていながら、食事おごるだけなんてそれこそ人が良すぎですよ。
昨日映画館の前で悪い顔して笑われた時には、実はそれなりに覚悟決めたんですけど。本当にご飯奢ってくれただけですんなり帰してくれたので拍子抜けしました」


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