狼系王子とナイショの社内恋愛
「もしかして今まで気づいてなかったんですか?」
「はい……。あれ? だって眼鏡かけてましたっけ?」
「社内ではかけてないけど、眼鏡かけたくらいで認識されないとは思いませんでした」
「課違いますし、普通分からないですよ。
それでも結城さんが有名だからなんとなく知ってたからまだよかったですけど」
「俺、有名ですもんね。噂で」
そう笑う結城さんに、同じように笑っていいものか悩む。
理由は、結城さんに関する噂が、女好きだとか女タラシだとかいい加減だとか不真面目だとか浮気性、等々、悪い事ばかりだからだ。
いい噂と言えば、顔がいいとか背が高いとか身体が締まってるとか、外見を褒めるものばかり。
噂が全部正しいとすれば、外見は極上、中身が最悪ってところだろうか。
“ユウキさん”か……。
申し訳ないんだけど、タイミングがタイミングなだけに、嫌な響きの名前に思えてしまう。
先週、ユウキに振られたばかりだっていうのに。
名字と名前で発音も違うけれど、その三文字を口にするのは気が重い。