こっち向けよ





長く一緒にいると、家族みたいに居ることが当たり前になると聞いたことがあるのに、何時になってもそうはならない。



舞と俺はいつ引き裂かれてもおかしくないから。



同じ様な平凡な日々が、俺たちにとってどれほど大切なことか。



俺たちの間で、今まで“婚約者”の話は一度もしたことはないけど、きっと舞も「おやすみ」を言う度に平凡な明日を願っていたに違いない。



ここにこうして、2人で居られること



笑顔を見られること



体温を感じられること



一つひとつを噛み締めて、この狭い世界で2人息をしているんだ────





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