こっち向けよ
一瞬だけ舞の気分が落ちたのがわかった。
それをすぐに立て直すと、
「お祖父様でしょう?」
お嬢様らしく背筋を伸ばし、顎を引き、凜とした声を発した。
舞の真っ直ぐな眼差しに、工さんと衣織さんも強く頷き返した。
母さんはそれをリビングのドア脇に立ちながら見つめていて、俺と目が合うと頷くように大きく瞬いた。
「大丈夫よ」って、言ってる気がする。
この件に関しては俺は何も出来ない。
舞の強い想いと、工さんや衣織さんの覚悟を信じるしかない。
あぁ…やっぱり昨日伝えてしまえば良かった。
無理やりでも奪ってしまえば良かった。