こっち向けよ
「一度、家に戻りましょう。それから、ママとパパと話をしましょう。」
「うん。」
会話を終えると、衣織さんは俺に強く頷いた。それに続くように工さんは俺の肩をポンッと軽く叩いた。
2人とも瞳が揺れていて、俺までそうなりそうだった。
いや、とっくになってたかも。
「愛ちゃん、いつもありがとう。今日中にあっちに戻らなきゃ行けないから、またよろしくね…」
「はい。あ…」
笑顔で返事をした母さんは、なぜか硬直した。
「愛ちゃん!敬語禁止って言ったじゃ~ん!」
母親の表情から一変して、大学時代の先輩の顔になる衣織さん。
「すみま…ごめんなさい!…え~っと、ごめんね?」
誤魔化すように微笑む母さんも、母親からコロリと後輩に戻っていた。
焦ったあまり混乱してるし。