こっち向けよ





私を、好き…



正直困惑しかない。



私は好きじゃない。



好きなのは愁。



今も、昔も、そしてこれからも。



どうやって私のことが好きになれるの…?



お互い顔も知らないのに。



私たちは一度も会っていない。



あっちから会いたいと言われるまで私は忘れていたくらい。



「私たちは、一度も会っていないのですよ?」



「…そうですね、ですが、坊ちゃまは舞お嬢様を妻に迎えたいと申しておられるのです。」



なんだか、話が滅茶苦茶だよ。



誰にもわからない程小さくため息を吐いた。



そしてまた時任さんの目を見る。



「私は、好きになりません。誠に申し訳ありませんが、」



「舞」



お祖父様は私の言葉を遮って、大嫌いになりそうなあの呼び方をした。





< 149 / 226 >

この作品をシェア

pagetop