こっち向けよ
私を、好き…
正直困惑しかない。
私は好きじゃない。
好きなのは愁。
今も、昔も、そしてこれからも。
どうやって私のことが好きになれるの…?
お互い顔も知らないのに。
私たちは一度も会っていない。
あっちから会いたいと言われるまで私は忘れていたくらい。
「私たちは、一度も会っていないのですよ?」
「…そうですね、ですが、坊ちゃまは舞お嬢様を妻に迎えたいと申しておられるのです。」
なんだか、話が滅茶苦茶だよ。
誰にもわからない程小さくため息を吐いた。
そしてまた時任さんの目を見る。
「私は、好きになりません。誠に申し訳ありませんが、」
「舞」
お祖父様は私の言葉を遮って、大嫌いになりそうなあの呼び方をした。