トイレキッス
幼稚園のお遊戯会は、夕方頃に終わった。
先生達にあいさつしてから幼稚園を出ると、部員達は打ち上げ及びクリスマスパーティーのために、商店街のお好み焼き屋へむかった。行列になって、薄暗い田んぼ道を進む。
「お好み焼きかあ」
洋平は歩きながらぼんやりとつぶやいた。
「麻見君、お好み焼きが嫌いなん?」
前を歩いていたミツキがふりむいて聞く。
「いや、そういうわけじゃないんやけど、クリスマスにお好み焼きを食べるってなんか変やな、と思って」
「ああ、それはね、仁さんのせい」
「仁さんのせい?」
「うん、仁さんはね、洋食全般が嫌いなんよ。それで、こういう打ち上げのときは、絶対に和食の店に連れていかれるんよ」
「そうなんや、でも、クリスマスにお好み焼き屋なんて開いとるんかな」
「予約してるって言うとったけん、大丈夫やろ」
そのとき、後ろから、低い声が聞こえてきた。
「ふたり共、楽しそうやね」
ミツキの顔がこわばった。
ふたりがふりむくと、すぐ後ろを藤沢が歩いていた。