エンドロール
「起立!気を付け!礼!」
しっかり勉強しろと送り出されたから授業をとんずらする気にもなれず、とりあえず朝のホームルームに出た。
毎日同じ時間にみんな揃って一人の大人にお辞儀をするなんて気持ち悪いと思っているのはきっと私だけじゃないだろう。
だけど、今日はいつもと違った。
教卓には校長先生ともう一人。
「入院中の先生の代わりに今日からこのクラスの担任を務めてくれる祢宜島先生です。」
「祢宜島です。まだこちらに来たばかりでわからないことばかりですが、皆さんの力になれるよう頑張りますのでよろしくお願いします。」
背はさほど高くないが、軽く胸を張り、顎を引いて、両かかとをついて整えられた姿勢。少し口角上がった笑みを浮かべて大きすぎず小さすぎずのボリュームで声を発する。
それが、実際よりも大きな存在感を示す。
そして、ひと際目立つ端正な顔立ち。これは、社長と良い勝負なのではないだろうか。その証拠に周りが随分色めき立っている。いうなれば、社長がはっと目を見張るほど神々しいような顔つきなら祢宜島先生はおとぎ話から出てきたような正統派のイケメンだ。
「祢宜島先生の担当教科は前任の中森先生と同じ社会科です。皆さん、くれぐれも祢宜島先生を困らせないように。」
相当女子が群がるだろうと目に見えているからか校長も釘をさす。
しかし、その甲斐があるのかどうかは怪しいものだ。
だけど、担任が中森だろうと祢宜島先生だろうと、おじさんだろうとイケメンだろうとどうでもいいことである。
クラスのあちこちから矢継ぎ早に質問攻めにされているのをよそにふと窓の外から見える校庭に視線をやった。