魔界女王伝
ダイアンだけはなぜかあの人形に興味を示していた。ある時、巡回していた時、人形を見てこう言っていた。



「しかし、お前さんは不気味だね~、まったく何を考えたらこんな人形を作ろうって思うのか。やれやれ。」

誰も知らなかった。この人形の事を・・・それから次の日、ダイアンが仕事が終わり帰る途中で、信号が青になるのを待っていた。そして中央まで歩いた時、誰かが足を引っ張っていることに気付いた・・・ダイアンは背筋が寒くなり、後ろを振り返って、遂に見てしまった・・・。



白い子供の手がダイアンの足を掴み、引っ張っていたのを・・・。
恐怖で声が出なかった・・・。否、出せなかった。足を引っ張っていた手がだんだんと薄く、だが確実にそれは姿を現した・・・。



あの人形がアスファルトから徐々に出現してきた。
茨の冠をつけた白い頭から、目に血の涙を流し、口元が笑っているあの少女の姿が。



ダイアンは戦慄を覚えた。そして自分が今日殺されるかもしれないと思った。
人形は右手でダイアンに停車している車を「見ろ」というような指示を出した。
ダイアンは息をのみ、思わず見てしまった。



赤い車が信号の赤で止まっている。しかし、なぜか中に乗っている女性は気絶しており・・・運転手を失ったはずの車がゆっくりとダイアン目掛けて発進した。ダイアンは目に涙を浮かべ神に祈った・・・。
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