「視えるんです」


……最悪だ。

知らなかったとはいえ、見られていたとは……。


ていうか、雨宮さんって最近までずっと私のそばに居たんだよね。
これも、全然知らなかったけど……。


……私、雨宮さんに色々な場面を見られてたってことだよね。

普段人には見せない、あんな場面やこんな場面をっ……!!




「……幽霊なんて、やっぱり嫌いだー……」




そうボヤいた私に、なんとなく事情を察したらしい先輩は苦笑気味に笑った。




それから私たちは、しばらくの間二人きりだった。

雨宮さんが戻ってくる気配はなく、GSの仕事に早々と出かけていった先生が空き教室に来ることもなく。

……本当に本当の、二人きりだ。


どうしよう、あり得ないくらい緊張してきた……!!

だって、私と先輩って、付き合ってる……んだよね?

その状況で二人きり、って。
どうしても、ドキドキするような展開を想像しちゃうじゃないですかぁっ……!!


空き教室に二人きり。
私たちを邪魔する人は、誰も居ない……。



ドキドキ、ドキドキ……鼓動が速まっていく。




「南沢さん」

「は、はいっ?」




先輩が、私の目を真っ直ぐに見つめる。


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