「視えるんです」




「ご、ごめんなさいっ!!」

「何故謝る?」

「だ、だって……こんな時に、す、好きだなんて……」




雨宮さんのことをどうとか、って話なのに、『本田先輩が好き』だなんて、全然関係のないことだ。

そりゃあ、先輩のことは好きだけど……でも、今ここで言うべきことではない。と、思う……。




「め、迷惑ですよね。 ごめんなさい……」

「迷惑。っていうかさ、俺とキミって、付き合ってるんだよね?」

「え? あ……えっと、はい……多分……」

「じゃあ、普通は嬉しいと思うけど」




……嬉しい……?

先輩は、私の言葉が、嬉しいの……?




「彼女に『好き』と言われて、嬉しくない男は居ないよ」




本田先輩の目は、とても優しく私を見つめていた。

優しく、温かく、そして、嬉しそうで。

そっと手を伸ばした先輩の手に、私の手を重ねる。




「俺も好きです」

「え……」

「多分、初めて会った時に好きになったと思う」




初めて会った時……私が、校内で迷子になった時……?




「『面白い子だな』と思い、そして『可愛いな』と素直に感じた。
告白された時は凄く驚いたけど、オーケーしたのは、多分キミが好きだったからだよ。
俺は視える人間だけど、キミはそれを受け入れてくれたし、今もそばに居てくれる。
だから守ると決めたんだ。 何があっても俺が守ると、そう誓ったんだ」


< 129 / 214 >

この作品をシェア

pagetop