「視えるんです」


突然の物音に、思わず先輩に抱きつく。

出た

出た出た 出た!!




「何が出たんだ? 南沢」

「幽霊に決まってるじゃないですか半沢先生!!」

「どこに?」

「ほらそこに!! ……って、あれ? 半沢せん、せい……?」

「おう、俺ですが何か?」




あれ。

じゃあ今の物音って、半沢先生がドアを開けて入ってきた音だったの?




「……首吊りした音は?」

「はぁ? んなもんするわけねぇだろ」

「だって、先輩が……」

「あぁコイツの幽霊話? んなもんにビビって引っ付いてるわけ?」

「……っ……」




わぁっ!? 先輩に抱きついたままだった!!




「ご、ごめんなさいっ!!」




そう言って先輩から離れ、深々と頭を下げる。

ヤバい。
私の顔、真っ青から一気に真っ赤だ……。




「いや、俺の方こそごめん」




笑ってるように聞こえる先輩の声を頭の上の方で聞きながら、私の顔は更に熱くなる。

これって多分、遊ばれたんだ。

怖がりな私を見た先輩は、怖がらせるためにあんなことを言ったんだ……。




「……先輩の、馬鹿」




いえ。 本当は私が馬鹿なんです。

『首吊りした男子生徒』なんて在り来たりなものを信じて勝手に怖がった私が馬鹿なんです。

わかってます。 わかっていますとも。

それでも、これだけは言わせてください。




「今度怖い話をしたら、その首へし折りますからね!!」


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