「視えるんです」
……先輩との距離、凄く近い。
こうやって会うのは久しぶりだから……凄くドキドキしてる。
「あれからどう? 何か、あった?」
「あ、いえっ全然大丈夫です!!」
「そっか」
「……」
「……」
うわー、会話が止まった。
何か話しかけた方がいいのかもしれない、けど……全然言葉が浮かばない。
迷いながら視線をさまよわせると、ミラー越しに先生と目が合った。
でも何かを言うわけじゃなく、ふっと前方に視線を戻す。
私と先輩、そしていつも騒がしい先生も無言。という状態は、正直息苦しい。
何か、言葉をかけた方がいいよね……でも、なんて……?
私の言葉なんて、二人からしたら迷惑なんじゃ……?
そんな風に思ってしまうと、言葉は出ないままだった。
……結局、ほとんど会話らしいことはせず、目的の場所に到着した。
「……って、思いっきり怖そうな場所じゃないですかっ……!!」
怖い話なんかでよくある、寂れたトンネル。
車通りは無く、暴走族が書いたのか、訳の分からない赤や青のマークがトンネルの出入り口を不気味に彩っている。
「そっちじゃなくて、目的地はこっち」
「え、違うんですか?」
「そこにはなんもいねぇよ」
……こんなに不気味なトンネルなのに。
でも先生は『早く来い』とわき道を歩いていく。
そこを私と先輩も進んでいくと……民家が見えてきた。