不思議な“キツネ”ちゃん





「パパ~」

「うん、パパのとこ。いこっか」

あれから1年。

未来はまだ預けてるけど。

あのときみたいに毎日泣いたりはしない。

高校に通っているから週に一回会いに来る。


京のお墓は家の近くにあって。


家っていっても京の、だけど。



「私たちもあとでいくわね」

「あっはい。待ってますので」



今は京のお母さんとお父さんと共に

お花屋に来ている。


京の好きな花と未来の選んだ花。

未来が選んだ花は赤い菊。


赤い菊は京と私の好きな花。


花言葉が“愛してます”だったから。




ただの偶然で未来が掴んだかもしれないが。




それでも。






京との想い出の花だから。



「未来ー、いくよー」

「はーい」

花屋の前でウロチョロしていた未来と一緒に

タクシーに乗って向かう。

あれから未来も大きくなって。

だんだん京に似てきた。



たれ目な目とか。

好きな食べ物とか。

色素の薄い柔らかい髪とか。

< 67 / 163 >

この作品をシェア

pagetop