不思議な“キツネ”ちゃん
「パパ~」
「うん、パパのとこ。いこっか」
あれから1年。
未来はまだ預けてるけど。
あのときみたいに毎日泣いたりはしない。
高校に通っているから週に一回会いに来る。
京のお墓は家の近くにあって。
家っていっても京の、だけど。
「私たちもあとでいくわね」
「あっはい。待ってますので」
今は京のお母さんとお父さんと共に
お花屋に来ている。
京の好きな花と未来の選んだ花。
未来が選んだ花は赤い菊。
赤い菊は京と私の好きな花。
花言葉が“愛してます”だったから。
ただの偶然で未来が掴んだかもしれないが。
それでも。
京との想い出の花だから。
「未来ー、いくよー」
「はーい」
花屋の前でウロチョロしていた未来と一緒に
タクシーに乗って向かう。
あれから未来も大きくなって。
だんだん京に似てきた。
たれ目な目とか。
好きな食べ物とか。
色素の薄い柔らかい髪とか。