人間ゲーム
「恐いなー緑ちゃんは!もうわかってると思うけどどちらかがジョーカーだからねー。」
カードをヒラヒラさせながら翔が笑顔で言う。
「翔君は顔に出るタイプ?」
こいつゲームを始めたときと全然性格が違う。
こういう人を待ってたんだよ‥。
死を目の前にすると必ず本性が出てくる。
やはり命がけでゲームするかいがある。
「どうだろ?多分出ないと思うよ~。」
楽しそうに答える。
絶対に負けない自信があるのだろうか?
高橋緑が伊藤翔のカードの前に手を伸ばし翔の表情をうかがう。
それをニヤニヤしながら自分のカードを見る翔。
この異様な光景を観衆気分だった生徒たちは固唾をのんで見ている。
オレはというとかたまって集まっている生徒たちより少し離れた場所でゲームを鑑賞している。
周りの人から見るとオレは真剣な表情をしているのだろうが、心の中ではまるで家でテレビを鑑賞しているかのようにリラックスしていた。
翔の顔を見て数分、右のカードに手を伸ばしたとき翔のまゆげが少し動いたことを高橋緑は見逃していなかった。
「笑顔をたもっていたように見えるけど‥!」
高橋緑の口角が上がり、ジョーカーではないと思われる左のカードを引く。