sound village

騙し合い ** side柏木




テルテルに連行されての
接待帰り。

ご機嫌な酔っ払い上司を
マンションの前に捨て去り
さっさと車を出す。

烏龍茶漬けの運転手にも
すっかり慣れたけど……

バックミラーとサイドを
確認して、再び路肩に停車し、
ハザードランプを点滅させ
カーナビの行き先履歴を
呼び出した。

先程まで、オッサンと並び
愛想笑いを振りまいた、
接待先の料亭の2つ前。

ーーーーそう………
整形外科の一つ前。


…俺の…家のすぐ近く。


住所を見ただけで、
心臓がバクバクしてる。

冷静になろうと
外したメガネを
ダッシュボードに置き
大きく深呼吸して、
頬を掌で何度も打つ。




ヤバい…




これ、レンちゃん家と
違うんか?






…って、直ぐに、車を出して
様子見に行くとでも
思ったか?!


…あのオッサンの性格など
既に熟知している。

…あのテルテルが…
個人情報を消し忘れるとか
ありえへん。


俺で…アソブつもりか?!

ナメんなよ。







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