M√5

「いつも分かれる交差点があって。
 そこでいつもみたいに、じゃあなって言った直後だったんだ。

 おれと将人は真っ直ぐ行くために信号待ちしてたんだけど、芽都は曲がって行ったんだ。
 もちろん、信号は青だった。

 ……なのに……!!」



トラックの、信号無視だったという。


しかもその運転手は、飲酒していた。



「バンドの練習の帰りだったんだ。
 だから、俺はベースを、芽都はギターを持っていた。

 信号待ちしてた俺らにとっては、本当に長い時間だったんだ。
 あいつが……轢かれる時間は」


もう、私は何も言えなかった。


何も感じられなかった。



「でも、実際はほんの一瞬で。

 なのにあいつは……。
 あのギター馬鹿は……」


一瞬だけ、倫生が笑った。

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