M√5

「あのバカ野郎、轢かれる直前に、体を捻ったんだ。
 背中に背負ってるギターを、トラックの反対側に向くように。

 ……馬鹿だよな……。
 自分が死にそうなのに、ギターの心配してやがんだ……!!」


私の手のひらに熱いものが触れた。


きっとそれは、汗だ。


7月の暑さのせいだ。



「……もしあの咄嗟の行動が逆だったら……。
 あいつ、助かったかもしれなかったんだ」


……ギターは硬くて分厚い。


もし背中を向けていたら、彼自身は大怪我で済んだかもしれない。



「あいつにとって……。
 ギターは命より大事だったんだろうな……」


泣きながら笑う倫生。


それに無理している様子はなかった。

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