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「いつもあいつが弾いてるのは……芽都のギター。
中3から始めたギターなのに、すごい勢いで上達してっちまった。
あいつ、大切なギター傷つけられたのと、ライブが失敗に終わったショックで、あんなに弱ってたんだな」
……毎日手入れされていたギター。
将人に話しかけても気づいてもらえなくて、ギターに嫉妬したこともあった。
……どんな思いで手入れをしていたんだろう。
……どんな思いでライブを終えたんだろう。
……どんな思いで親友の死を受け入れたんだろう。
さっきまでは輝いていた太陽も、ついには沈みかけていた。
茜色の光が雲や屋根に反射する。
「……ごめん、こんな話して。
暗くなるから帰ろうか」
明るく言って立ち上がったのは倫生。
それに次いで私も立つ。
こんなに静かに別れたのは、初めてかもしれない。