賭けで動く恋
「お断りします。私よりもモデルに相応しい人は五万といるでしょう。
それに仕事も有りますからモデルなんてしてる暇ありません」
「お仕事は《椿庵》というネットショップのデザイナーでしたね。
確かに毎日お会いしたいのが本音ですが、個展までの約4ヶ月、週に3日だけお時間を頂く事は出来ませんか?」
眉を下げて困ったような顔をする神谷さんに私も同じような顔になる。
《椿庵》は百合さんがレースのコサージュやビーズ細工アクセサリー等の小物を、私が和布を使ったぬいぐるみや匂袋等の小物を作って販売してるネットショップで、ある程度は時間の遣り繰りは出来る。
でもこんなコンプレックスだらけの身体で『モデルになってほしい』と言われて「はい、喜んで」って引き受ける程、私は自虐的じゃない。
「東京にはもっとスタイルのいい綺麗な人が沢山いるでしょう?お引き取り下さい」
「恵実さんでなくては駄目なんです」
間髪いれずに返された神谷さんの強い声に眉間にしわが寄った。